探し人はいずこ

事前に手紙を送っておいたので、ストックホルムでは、無事にタカイドとシィアグウに合流できた。

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「まーーったく、パパチチは目を離すとすぐに面倒そうなもん引き受けてくるんだから」
「まったくです」

ぐぬぬ・・・(--;)
タカイドめ、普段は一緒になって引き受けてるくせに。涼しい顔してやがる。

「ま、まあ、いいじゃないか。ほら、ストックホルムの街並みも綺麗だし」
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「あたし達は先に着いてるからもう見飽きたけどね~」

ぐぬぬ・・・(--;)

まあ、いい、とりあえず、その少年との待ち合わせ場所へ行こうか!





ああ、あの子だな。

072615 101449

「もしもし?」

「あ・・・・こんにちは
もしかして あなたが僕の依頼を請けてくれる人?
よかった。お名前を教えて?」

ああ。自分はパパチチ。
こっちがタカイドで、こっちがシィアグウね。

「ありがとう パパチチさん。ええと、探してほしいのは男の人で──」

「あ、こら!そこの少年!人の名前を聞いたからには、自分も挨拶しないとダメなんだぞ」

「あっ ごめんなさい。僕のほうはいらないと思っていたんだ」
「うにゃ?」

「うーん、聞いても意味がないよ。この辺に住んでるただの子供だから。
「それより パパチチさんには早く「おじさん」を見つけてほしいんだ」

「な、かなか手強いね、キミは」
「シィアグウ、まあ、いいさ。この子についてはワケアリだって、話しただろ。
「さ、おじさんについてきかせてくれ」

少年は、一通り説明を始めた。

・「おじさん」はドイツで戦っているらしい。
・僕は「おじさん」を助けに行きたい。
・でも ドイツのどこにいるか分からない。
・一人じゃそんなとこ行けない。

「おじさんは、僕が とても尊敬してる人なんだ。強くて 面白くて 優しくて。僕もあんな大人になりたいなって」
「ふむ。それで、おじさんの容姿は?」
「見た目は そうだなあ……。髪は赤っぽくて 目は茶色で自信満々って感じのお顔をしてるよ」
「おっと、肝心なことを聞くのを忘れてた。おじさんの名前は?」
「名前は──言えないんだ。お願いだから 聞かないでほしいな」

「・・っ!ちょっ名前も教えてもらえないわけえ??」
「なかなか興味深い事案ですな」
「もーーーめんどくさいから、街中でそういう姿形のおっさんを聞いてまわろうよ!」

「それはだめ!聞き込みって この街の人にその「おじさん」のことを聞いて回るってことでしょ?
「それはだめだよ
「……どうしてもやるって言うんなら、この依頼はなかったことにしてほしいな」

むむむ。
さて、ゾフィーからの頼みでもあるし(間接的だけど)、それは困るなあ。
とはいえ・・・・・・。

「んもーー!じゃあどーするのよーー」
「ますます興味深い展開ですな」

「本当にどうしたものかなあ?」
「ええと、とりあえず、ご飯を食べながら相談しようよ。
「僕 ずっとここで依頼を請けてくれる人が来るのを待ってたから お腹が空いてるんだ」

少年は、そう宣言すると、スタスタと先行して歩き出していた。

「・・・パパチチ」
あわてて少年についていきがてら、シィアグウが、こっそり耳元でささやいてくる。

「どーするのよ、このマイペースなショタ!ちゃっかりしっかりしてそうだから、ご飯代もこっち持ちだよ」
「まあ、そうセコイことは言わんでも。もう少し付き合ってみようよ」
「まーったく、美少女人妻関連だからって」
「なんだその美少女戦士みたいな人妻。いや、人妻は関係ないぞ。オクスフォードの教授みたいなこというな」
「あやしーーー」
「コホン、あんまり聞き分けがないとオギクボと交代するぞ」
「たしかに、こういう謎めいた事案はオギクボむけかもしれませんね」
「ちょちょっ、タカイド突然わりこむにゃ!オギクボなんかには負けないよ!!もーしょうがないにゃー」





072615 101734

「ね パパチチさん、ここのご飯って 結構おいしいね。しかも 賑やかで面白いよ」

「まーったく、マイペースだなあ。キミはどっかの貴族か豪商の息子でしょ。そういう感じ」

シィアグウがからってみても、少年は動じず楽しそうに食事をしている。
まあ、確かに大物になる資質、あるかもしれないな。

「──ほら 見てよ、あんな不思議な感じの人もいる
「あの人 占い師さんかな?」


ん?占い師??

「そうだ!あの人に占ってもらわない? ねえ 占い師さーん!!」

おいおい、呼んじゃったよ。

・・・・・・って
まさか。

072615 101757

エイリアスか!

072615 101822

「お呼びですか?」
「うん あのね、占いをお願いしたいんだ」

少年は目を輝かせて、神秘的な雰囲気を漂わせる占い師に相談を始めた。
まあ、彼女の霊験は自ら体験しているところなので、自分に特に異はなかったが、しかしここで巡り合うとはね。

「・・・・・・「自由の人」との出会いがその枷を外し「均衡の人」があなたを導くでしょう」
「「自由の人」と「均衡の人」?」
「自由の人」と出会い、あなたの枷には 亀裂が入りました
 そのまま南西に向けて海を渡り、「祈りの場所」に向かえば、「均衡の人」があなたを待っています」
「自由の人」って もしかしてパパチチさんのこと?」

自由の人?
そんな自覚はないが、南西ってのはたぶんリューベックだな。
祈りの場所、といえば、教会か。

「リューベックの教会に行けば「おじさん」に繋がる誰かに会えるの?」
「星は語るだけのもの、あとはすべて あなたの選択のままに──」
「……僕 行ってみたい。パパチチさん、連れて行ってくれる?」

あのマイペースだった少年が、真摯な、そして焦がれるような目で、今は真剣に自分にむかってお願いをしていた。

・・・ええと。それはもちろん・・・・・・。

だけど。
出会ってまだ一日も経っていないのに無防備だなあ。
まったく、自分が悪い海賊だったらどうするつもりなのか。
あっという間に誘拐されて身代金請求ものだろう。
いや、まあ、今の職業は「盗賊」だけどさ。
あ、じゃあ、いいのかね?誘拐しても?
いやいや、それより自由の人ってなんだよ。
こんなに人生いろいろ不自由しているおっさんを捕まえてだよ。
いやいやいや、それよりリューベックまでいくかどうかだが・・・・・・。

そんな愚にもつかない想いが頭のなかをぐるっとかけ巡っていると、いつの間にかエイリアスがこちらをみて微笑んでいるのに気がついた。
そういえば、挨拶してなかったな。

「ええっと、お久しぶりです。その節は大変助かりました。天馬の羽の件、感謝してます」
「さあ、そうでしたかしら」
「またまた。そうそう、弟さんにもお世話になってますよ」
「フフフ。私には、若いころの過ちを友の娘を引き取って償おうなんて献身的な弟はいませんよ」
「」

ん?内輪受けの冗談でタカイドを困らせてやろうと思ったら、あいつ、絶句してやがる。

「・・・ところで、今回はまた助言とかは無いですかね?」
「これは、この少年のための占いですから。あなたへのアドバイスはありません」
「ふーむ、では追加で占いをお願いしようかな」
「すみません、本日の占いはこの少年の分で、もうおしまいです」
「回数制限があるんですか・・・・・・それは残念」

「でも、あなたは本当はどうしたいかもう決まっているんでしょう?」

まあ、それはそうだ。
ただ、タカイドやシィアグウもいるし、なんとなく即答しにくくて頭の中に雑念が湧いた、というか。

エイリアスは、そんな自分をみて、わかっています、という顔をしていた。

「少年の願いがかなうことがあれば、みなさまのことも占って差しあげましょう」
「え、三人分、特別に?」
「ええ。お代も結構ですよ」

ああ、これは自分に理由を作ってくれた助け舟か。

彼女の占いのすごさは、以前、自分のみならず乗員すべての命が助けられたことで証明されているし。
そんな占いを特別に受けられるなら、リューベックまで少年を一人運ぶぐらい、もののついでというものだ、と、他の二人も説得しやすいだろう。

072615 102014

「まあ、乗りかかった船、というか、乗せかかった船ですからね。最後までつきあいましょう」
「パパチチさん、ありがとう!」

「その強い想いがあれば星も強く輝き きっとあなたを良い未来へと導いてくれることでしょう」
エイリアスがほほ笑んだ。

「うん。ありがとう 占い師さん!」


いてもたってもいられない、ッて感じだな。
それだけ、おじさんを慕っているということか。

エイリアスは我々にも軽く会釈をすると、店から出て行った。

あるいは、彼女も、この少年を自分がリューベックに連れて行くのを望んでいたのかもしれない。
だから、あえて報酬めいたものを告げていったのかも。

まあ、前に彼女には命を救われて感謝はしているし、もし彼女の思惑にのっているのだとしても、そんなに嫌な感じはしない。
教授とメルカトール先生に仕組まれて反発したようなこともなく。

・・・・・・ただ、美人に弱いだけかもしれないけどねw

うーん、しかし、こういうややこしそうな思惑が絡んでいる事件の整理と分析は、オギクボくんの方が得意なんだよなあ。
いろいろと落着してロンドンに帰ったら、話を聞いてみるか。



(このクエスト、続きます)
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