ロシアの伝統楽器

芸術家になる道は地道で険しい、という報告を届けた後、地中海でいくつかのクエストをこなしたり地図で発見したり。

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シラクサではアイテム発見後に、謎の地下迷宮にもぐったり。

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ナポリに着いた時に、行きがかり上、ローマで決闘することになったり。

と、「順調」に冒険を続けていたわけだが。

・・・・・・特に目的もなく、出たとこ勝負で流されていた、という意味では、ずっとグダグダとしていたのかもしれない。
いわば、気持ちの上では緊張感もなく、ずっと夏休みの延長戦だったというか。

そんな暑い夏のダラダラとした時間、なんだかんだとノンビリしたバカンスの時間。

季節が変わりゆく、気配と予感がしたのは、またもや北のあの街からだった。



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「サンクトペテルブルクへようこそ、わたしのことはりリアって呼んでね」
「あ、よろしく」
「こちらへは御商売?それとも御旅行?」
「ああ、ちょっと探しものでね」
「あら、どちらから?」
「ナポリから」
「あらら、ずいぶんと遠くからいらしたんですねえ」
「ローマで決闘した相手と意気投合したんだけど、そいつに仕事を紹介されてね。引き受ける前はこんな遠くに来ることになるとは思わなかったよ」
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「それはお気の毒さま! マスター、何か知ってますか?」
「んん?」
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「やっぱり、楽器といえば吟遊詩人じゃないか?」
「ですねえ。今日は、ここには来てないですけど、何人か吟遊詩人さんがいる場所、教えますね」
「助かるよ~。ありがとう!」



そんなわけで、サンクトペテルブルクへ来ている。
今回は、ちょっとした個人的ないきさつが元のクエストだったので、タカイドとシィアグウは同行せずにストックホルム行きの別の仕事を受けていて、別行動だ。

酒場で教えてもらった場所を探してみると、幸いなことに最初の吟遊詩人から楽器について聞くことができた。

「もしもし」
「おやおや、無個性極まる無粋な挨拶だね。そこはかとなく、かわいげはあるけど」

・・・・・・めんどくさそうなやつだな。
まあ、吟遊詩人なんてこんな感じか。

「それで、もしもしの御仁、どうやら遠くから来たみたいだけど、どこから?」
「ああ、ええと、ナポリから探し物をしにね」
「へえ、いいね。楽しい話がきけそうだ」





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「ふむ。できればそれを見てみたいんだけどね」
「・・・ああ、ごめん。あなたはその楽器を見たいんだったね。
「それなら、僕がこの街に住むある人の邸宅に預けたものがあるから、見ていっていいよ。ただ、弾いてみせられはしないんだ。あれは僕の師匠の物。僕が弾くわけにはいかないから・・・」

吟遊詩人の若者が語り出す。
話が長くなりそうだったが、さすがの美声だし、ちょっと聞いてみることにした。

「僕の師匠はスコモローフっていう伝統的なこの国の学芸者だったんだけど、弾圧にあってね。まあ、そもそもはこの国が息苦しいから、それをみんなが面白おかしく、音楽と詩で発散していただけなんだけど・・・・・・。段々、過激になっちゃってね。

「僕の師匠や仲間たちのスコモローフも、いろんなところから目をつけられちゃって。師匠の楽器自体も危険物扱いさ。他の国の格言で悪いけど、ほら。『坊主にくけりゃ袈裟まで憎い』だっけ?そんな感じさ。
「まあ、スコモローフ達にも、強盗働らくやつがいたり、事実無根に権力者を面白おかしく茶化しすぎたり、調子にのってる奴らがいたからねえ。自業自得なのかもしれないけれどね・・・・・」

「君は大丈夫なのかい?」
「ああ、僕はもうボヘミアから流れてきたさすらいの吟遊詩人、という設定で大人しくしてるからね・・・
「まあ、でも。スコモローフの裏切り者みたいで、心苦しいから、師匠の楽器を弾くことはできないのさ」

若者は少しだけ寂しそうな笑みを浮かべて空をふと見上げた。

「・・・今晩、酒場に来てくれれば、ボヘミアの伝説でも謡ってあげるよ。戦乙女が今は一番人気さ」

と、ちゃっかり宣伝をする彼と別れて、教えてもらった邸宅へと歩く。


しかし、なるほどねえ。あのゾフィーが嫁いだこのロシア、いろいろと大変なんだな。

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そして、この楽器。

いろいろな逸話も含めての芸術品の価値ってやつか。






酒場にもどって、リリアに報告の代行をお願いする。

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「その吟遊詩人さんの唄、きいていかないの?」
「ああ、ストックホルムで待ち合わせしているし、ボヘミアの伝説っていうのはまた今度ね」
「あら、面白いのに、残念ね。ちょっと悲劇的なところもあるけれど・・・。あら?ストックホルム?」
「ん??」
「そういえば、さっき、学者さんが来てて、ストックホルムに行く人がいないか探してた」
「へええ。じゃあ、何かのついでに役に立てるかもしれないから、ちょっとよってみるよ」
「うん、そうしてみて」




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学者宅に着き、名前と用件を告げると、しばらくして、えらく丁重に部屋に迎え入れられた。

「いえ、実は、あなたのことは皇太子妃殿下からうかがっておりまして
「いろいろと世話になったから、こちらの街で助力を求められたら手助けするように、と」

おやおや、さすがゾフィー、通りすがりの航海者にもソツのない差配っぷりだなあ。
そうか、そういえば、ゾフィーは読書好きだったっけ。
学者と親しくしていてもおかしくない。
宮廷の貴族達の相手よりもくつろげるだろうしな。

「ああ、でも、今は、特に。むしろ、ストックホルム行きの航海者を探しているということだったので、お邪魔したわけですが」
「なるほど、そうでしたか。皇太子妃も御存じの御仁にあのクエストを受けていただけるなら、信頼もおけますし非常に頼もしい限りです」
「ほお」
「とはいえ、そうですね。ああ、では、あなたのスキルの上限を開放しましょう。北方の言語でもひとつ、覚えていってください」
「へえええ!それはありがたいなあ。スキルのやりくりではホントに苦労してるからねえ」

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「では、ストックホルムの件ですが」
「はい」
「ある少年の人探しの手伝いなんです」
「少年の人探し?少年を人探しではなくて?」
「はい。少年からの依頼です」
「少年っていっても。冒険者ギルドとか学者のあなたが差配するような話ではないでしょう」
「・・・・・・」
「・・・なるほど、わけありですね。冒険者ギルドはともかく、皇太子妃と関係があるあなたが動いているということは、やんごとなき身分の少年、ということですか」
「あまり詳しいお話はできないのですが、ご推察のとおりです」

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「あなたに引き受けていただけるなら、皇太子妃も安心されるでしょう」

ゾフィーも気にかけるストックホルムの少年、か。
皇太子妃となった彼女に、他国の一介の航海者である自分が会えることはもうないだろうけど。
たまたまここに来ていたのも何かの縁、手伝ってもいいか。

「わかりました、やりましょう」
「おお!さすがのご快諾ですな」

嬉しそうな学者にウォッカを振舞われながら、かつて強烈な印象を自分に残した現皇太子妃を久しぶりに思い出していた。
多少の苦い思い出とセットなので、普段はなかなか思い出そうとはしないのだけれど。

そうだ、彼女もまた、神があつらえた生きる芸術品、のようなものなのかもしれない。様々な逸話に彩られて、後世まで名を残すような。

出会った当時の自分には、そんな芸術を観賞する余裕も鑑定するスキルもなかったわけだ。

「・・・ま、今だって、あやしいものだがなあ」

どんよりと曇った空が見える窓のむこう、ここからは見えない王宮にむけて、軽くグラスを掲げてみた。
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