再び、ロンドン

とりあえず、ロンドンの自室。
呼んでおいたオギクボ君がやってきた。

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「へーーー、そんなことがあったんですね。オクスフォードに行ってから全然帰ってこないから・・・・・・」

あれ、心配かけちゃった?

「いえ、それは大丈夫でした。エマさんはじめ皆さん通常業務で」

あれ。

「シィアグウさんやジーシャンシーさんといった女性陣がいないですから、タカイドさんと二人で遊び歩いてるんじゃないかと」

ぐぬぬ・・・(ーー;)

それはそれとして、今回の話、どう思う?

「そうですね。奇妙です」

だろう?
自分も、ちょっとオギクボ君と整理したくてもどってきたんだよね。

では、気になった点をリストアップしてみてよ。

「はあ。じゃあ。

1.なぜパパチチさん達が選ばれたか?
   ジュスティーヌさんの推薦とはいえ、やっぱり、ちょっと動機として弱いような。

2.なぜ、ダニエルさんはミッターさんも脅迫されていると知っていたのに何もしなかったのか?
  横の連絡がとれてるのに、事務局に連絡しないのは不自然ですし。
  誰かに相談すること事態を禁止されていたなら、やむをえなかったかもしれませんが、ミッターさんはダニエルさんには連絡をとっているわけで・・・・・・。
  同様の境遇の人間がいるなら協力しあって犯人を探してみてもいいはず。

3.なぜミッターさんは、卵や噂話程度で参加を見合わせるのか?
  ぶっちゃけ小さい話で、くだらない噂話なんて、大会で優勝すれば吹っ飛びそうなのに。

4.フックさんはなぜ皆さんが「脅迫を受けている」と発言したのか?
  パパチチさんは、「不明な人物が原因で危険な目」としか言っていない。
  なのに、フックさんは、「何者かから脅迫を受けていて」と返してますよね。

5.なぜ、ヴィクターさんはパパチチさんが正確に名前を確認したら意外そうだったのか?
  パパチチさんは、ダニエルさん、ミッターさん、レン(ジェフ?)さんには名前を間違えたフリをしてましたよね。
  ヴィクターさんは、パパチチさんがそういう人だって、誰かから事前に聞いていたんじゃないでしょうか。
  で、ボケられたら突っ込んでやろうと構えていたら、何もされなかった、と。

  でも、パパチチさんがそういう人だってことは、ダニエルさん、ミッターさん、レン(ジェフ)さんのうち、二人が揃わないと分からないわけで。
  三人もしくは二人が「パパチチさんの名前ボケ」を確認した上で、ヴィクターさんに雑談なのか手紙なのかで、告げている必要があります。

6.なぜわざわざブリテン島南岸まで運ぶ必要があるのか?
  もっと確実に監禁するなり、殺すなり、再起不能にできたはず。
  実際、パパチチさん達は、すぐに戻ってこられた。
  むしろ、動かずにじっとしているヴィクターさんが不自然です。
  お金も道具も何も盗られなかったそうですし。

7.そのヴィクターさん。なぜ、いくら物知りとはいえ、まったく危機感がなかったのか?
  動けないぐらい重症なら、もっと大騒ぎしてパパチチさん達に救助を求めても良いはず。
  帰りのこともまったく気にしていないようです。

8.なぜ、クイズバトルを中止しないのか?
  参加者が一人しかいないなら、不戦勝ではなく、大会が成立しなかったとすれば良いこと。
  開催100回目!など伝統ある行事ならともかく、まだ2回目らしいじゃないですか。

9.なぜローマなのか?
  わざわざローマに行く必要ってあるんでしょうか。
 

といった、ところですかね」


ほっほー。
結構あるねえ。

ででで、どう思う?

「まあ、ヤラセ、でしょうねえ」

そーだよなあ。

「パパチチさん達を大会に出場させるために、フックさん、ダニエルさん、ミッターさん、レン(ジェフ?)さん、皆で連携しあってたんでしょう」

うむ。

問題は、なぜ、そんなことをしたのか・・・・・。

「そうですねえ・・・・・・」

オギクボ君も頭を傾けて考えている。

「やっぱり、大会の知名度アップ、というのはあるでしょうね」

ふむ。

「まだ2回目の大会です。そして前回はかなり盛り上がったとか。となると、それなりのドラマがないと今回は盛りあがりにかけるでしょう」

まあね。

「不正な手段で他の対抗者を追い落とした悪賢い知恵者と、その悪事を暴いて飛び入りをした正義の挑戦者」
「そう、これはまさに決闘!対決! そうアピールするなら、ローマのコロッセウムという場所も効果があります。見物客もオクスフォードに比べればたくさん収容できるしょう」

なるほど。

「そう思うと、このシナリオが実現すれば良いわけですから、挑戦者は必ずしもパパチチさんとタカイドさんでなくても良いはず。選ばれたのは偶然だったのかも。あるいは、複数の航海者に話を持ちかけていて、パパチチさんとタカイドさんが一番最初にフックさんのところに戻ったから、ローマ行きになった、とか」

やっぱり、そんなところかな・・・・・・。

途中から感じていた、「船に乗せられている感」。
それは、リアルタイムに事件に向き合っているわけではなく、何かしらの筋書きをドラマのように見せられているような感じだったからなんだろう。

リアルな冒険で感じる切羽詰まった危機感、ヒリヒリした感覚、そう、かつての氷海世界の調査や、海賊達との駆け引き、大海戦で味わうような緊張を、まったく感じることがなかったのだ。





冒険の数々を思い出してシミジミしていると、開いた窓から入ってくる風が、机の前の七夕飾りをひらひらと揺らした。

・・・・・・その時、同じように黙っていたオギクボ君が、また口を開いた。


「・・・・・・とはいえ。それだけでもやはりちょっと違和感は残ります」

ん?

オギクボ君は、帽子のツバを触りながら、なお考えている。

「・・・・・・パパチチさんも、気が付いているとは思うのですが」

うん。

「このドラマの筋書きは、誰が書いたのか。そして、その筋書きを実行するにあたり、たぶん、フックさん達をサポートした人がいるはずです」

フック氏が考えたわけではなく?

「フックさんも台本通りに話しているようにみえますからね。いくつかありますが、特に、ドーバーからオクスフォードに戻ってきた時のセリフとか。もっと臨機応変に返事ができたはずでしょう」

・・・・・・そうなのだ。
そこは確かに「・・・・をいをい」と言わざるをえなかった

「シナリオを書いた脚本家はかなり頭のいい人です。ただ、そのレベルを消化した上で、アドリブを演じるには、役者のみなさんのレベルが足りなかったんでしょう。まあ、プロの役者さんというわけでもないですから、しょうがないかな」

「ただ、その拙さを補う、演出家がいたんです。大根役者だらけでも、実際にシナリオどおりにパパチチさん達を動かすなら、マメに軌道修正する必要がありますからね。そうだなあ。その演出家は、なるべくパパチチさん達の近くにいた方が都合が良かったでしょうねえ・・・・・・」

・・・・・・。
なるほど、ね。

そうとも、脚本家と演出家。
いまならはっきりとそれが誰かわかる。

ありがとう、オギクボ君!
いやあ、君は、ベーカー街にでも住んでみるべきだね。子孫に名探偵が生まれるよ。

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「まーた、そんなメタなことを~。それより、もう馬車を呼びますか?」


ん?

「行かれるんでしょう。ローマ、じゃなくて、オクスフォードへ」

そうそう!
さすがは、名探偵君。

では、お願いしようか!




(続きます)
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